らうめん。

僕はくまのぷーさんの物真似が非常に得意なのだけれど
欠点は誰もくまのぷーさんがどんな声なのか知らないことだ。
さらに欠点を言うのならば僕もくまのぷーさんの声を良く知らないことだ。

〜〜〜閑話休題〜〜〜

先日久しぶりにラーメンを食べに行った。
諸般の痔情、もとい事情により入院を余儀なくされていた私にとって
もはや庶民の味方であるべきはずのそれは
ショーウィンドー越しに眺めるのが精一杯とも言える、
憧れの馳走へと変化を遂げていた。
生憎買い与えてくれる紳士も代わりにバットをくれるイチローもおらず、
私はポケットの中でくしゃくしゃとなりながらも
今か今かと出番を待つ英世と共に店へと向かった。
ポケットの中の千円。それは僕にとって弾丸であり
まさしく僕をハードボイルドたらしめるに十分なマグナム。

カウンターに座り店員に「いつもの」とだけクールに言い英世を出す。
「はい?何にしますか?」と聞き返され
私は「……あ、すいません。普通のラーメンで……。」と言いなおした。
まもなくしてテーブルに置かれる、もうもうと湯気を放つどんぶり。
その湯気の暖簾をくぐれば、そこにあるのは黄金色に輝く
小麦香る太麺にきらきらと輝く濃厚な海。私はそこにジパングを見た。
なるほど、確かにこれならマルコ・ポーロも黄金の国といって
憚らなかったことも頷ける。

だがそこで私はある異変に気づいた。
ちらと隣国(業界用語で隣の席とも言う)を覗けば、
そこにおわすはぷりんとした艶やかさ、その艶かしさを
いやらしいまでに見せ付けるチャーシューというもの。

ない。
私のラーメンの上にはそれがない。
よっけは激怒した。かの邪智暴虐の店主を必ず除かねばならぬと決意した。
いや、実際に除かれてるのは僕のチャーシューなんだけれども。
だがこれは怒るに十分足る。
仮にこれが僕の大好きな妹紅だとしたならば、
それは白シャツがなくてサスペンダーともんぺだけのもこたんではないか。
いや待てよそれはそれで逆に美味しい気がする。
でもやはりもこたんといえばもんぺを脱がして白シャツだけにしたいという
願望こそがサイレントマジョリティの総意であり正義だということを……
いやいや話がそれた。
私が言いたいのは要は私のテーブルの上のジパングに黄金というロマンを
兼ね備えるべきチャーシューなくして何が完璧ングダムだということで。

私はその怒りを抑えることあたわず、この店主にとどまることを知らない
アングリーな心持ちを吐き出してやろうといきり立ち、バンと机に器をたたきつけ
「あ、ご、ご馳走様でした!」と言い放ち店を出た。
以上、レポっす。